バイクを売ることを検討するにあたって、売る方法の選択は重要な問題です。
売る方法の選択次第では金額に大きな差が出る可能性があるわけですから、悩んでしまうのも当然です。
考えられるバイクを売る方法として、個人売買、オークション、バイク買取業者、バイク販売店などが挙げられますが、オークションにバイクを出品してみたいけれど、難しそうと思ってためらってらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回はオークションでバイクを売ることについてご説明したいと思います。
オークションでバイクを売ることのメリット
ネット上では、オークションでバイクを売るほうがバイク買取業者に売るよりも高く売れるという情報をよく目にしますが、本当なのでしょうか。
これは、ある意味本当で、ある意味間違っているといえます。
どういうことかというと、バイクの種類によって、オークションの方が高く売れやすいものとそうでないものがあるということです。
オークションで高く売れやすいバイクとは、ざっくり言うとレア度の高いバイクです。
例えば、旧車でもう手に入らないバイク(いわゆる『名車』といわれプレミア価値がついているもの)や、完成度の高いカスタムを施されているものなどが該当します。
逆に、人気があっても現行で手に入って、どノーマル(旧車のどノーマルは別)のバイクなどはバイク買取業者に売るほうが高値がつく可能性があります。
ですから、あなたが売ろうとしているバイクの種類によって、売る方法を最適化するのが正解なのです。
つまり、オークションでバイクを売ることのメリットは『種類によってはバイクが高く売れることがある』ということになります。
オークションでバイクを売ることのデメリット
では逆に、オークションでバイクを売ることのデメリットはなんでしょう。
この記事を読んでくださっているのは、ある程度オークションについて調べてらっしゃる方が多いと想像されますので、もういろいろとネット上でオークションのデメリットを目にされていると思います。
ですから、ここではオークションでバイクを売ることのデメリットの中でも特に注意が必要なものについてお話したいと思います。
オークションにおいてバイクの売主が抱えるリスクの代表的なものは、名義変更に関するものでしょう。
バイクが売れた後に落札者が名義変更をしてくれず、その状態で事故などを起こされると、出品者のあなたが責任を負わされるリスクが発生します。
こうした名義変更に関するリスクを軽減する方法については後述します。
また、リスクと言うかコストと呼ぶべきことですが、オークションでバイクを売るには手間とお金がかかります。
オークションにバイクを出品するには、バイクの写真を何枚も撮影して、詳細な説明文を考え、かつ、入札しようとする人の目に止まるような魅力的なページづくりの工夫をしなくてはいけません。
慣れている方ならばなんということはない作業かもしれませんが、初めて出品する方にはなかなかの手間です。
手数料に関しては、例えばヤフーオークション(以下、ヤフオク)で『自動車、オートバイ>中古車・新車』のカテゴリで出品する場合、出品システム利用料の3,024円(税込)と落札システム利用料の3,024円(税込)がかかります。
さらに、バイクの出品は特定カテゴリなので、yahoo!プレミアムの登録が必須であり、月額498円(税込)も必要です。
それに加えて、もしなんらかの事情で出品を取り消すことになれば、出品取り消しシステム利用料の3,024円(税込)がかかります。
ここで書いたヤフオクの手数料に関する情報をいろいろなサイト等で目にされた方は多いと思いますが、これに関してはお話しておかなければいけないことがありますので、次のセクションでご説明したいと思います。
ヤフオクでバイクを売るとき登録すべきカテゴリ
上でヤフオクでバイクを売るときの手数料について書きましたが、実はこれはちょっと事実と異なります。
事実と異なるにも関わらず、いろいろなサイトで書かれている内容でもあるので、ここで正しい情報をアナウンスしておきたいと思います。
たしかに、『自動車、オートバイ>中古車・新車』のカテゴリにおける手数料は上で示したとおりです。
しかし、バイクの車体をヤフオクで出品する際に登録すべきカテゴリは、『自動車、オートバイ>オートバイ>オートバイ車体』となります。
そして、『自動車、オートバイ>オートバイ>オートバイ車体』カテゴリの出品システム利用料は0円、落札システム利用料は1,944円(税込)となっており、『自動車、オートバイ>中古車・新車』カテゴリでの登録と比べるとかなりお安くなっております。
また、出品取り消しシステム利用料も540円となりますから、取り消しもけっこう気軽にできます。
<誤>出品システム利用料3,024円+落札システム利用料3,024円+yahoo!プレミアム会員費498円(月額)=6,546円(税込)
<正>出品システム利用料0円+落札システム利用料1,944円+yahoo!プレミアム会員費498円(月額)=2,442円(税込)
正誤を比較すると4,104円もの差になりますので、この機会にお見知りおきください。
名義変更に関するリスクを軽減する方法
さきほど、オークションでバイクを売る際の注意点として、名義変更に関するリスクが存在することについてお話ししました。
そのリスクに対してどのように対処すべきでしょうか。
最も単純明快で効果てきめんな方法は、廃車処理(一時抹消)をしてしまってからバイクを発送することです。
一時抹消の処理をされたバイクにはもはやナンバープレートがなく、そのまま乗ることはできませんので、落札者がそのバイクに乗るためには、落札者名義で新たに登録をするしかありません。
しかし、排気量が250ccを超えるバイクで車検が残っているバイクだと少し事情が異なります。
オークションでバイクを買おうとする方は、なるべく安くバイクを手に入れて、そのまま乗り始めたいという傾向があります。
すなわち、車検が残っているバイクは入札されやすくなります。
ですから、車検が残っているバイクを出品するのは出品者にとってアドバンテージとなります。
そうなると、出品者は車検が残っているバイクを廃車処理(一時抹消)するわけにはいかなくなります。
かと言って、そのままバイクを発送して名義変更を落札者に任せるのは不安が残ります。
そこで、名義変更が完了するまでの保証金として、出品者が落札者から1〜3万円程度のお金を預かり、名義変更が済んだことを確認できたら、保証金を落札者に返金するという方法がよく取られているようです。
このように、保証金を預かるという方法も良いのですが、保証金をちゃんと返してくれるのか、落札者のほうが逆に不安を抱く可能性は否めません。
そうした不安をお互い抱かずに済む方法として私がご提案したいのが、バイクの受け渡しよりも先に名義変更を済ましてしまう方法です。
名義変更の手続きにバイクの本体は必要ありませんので、落札が確定したら、名義変更に必要な書類を出品者から落札者に送付し、落札者が名義変更を完了させたことを確認できてから、バイクを発送すればお互いの不安を極力減らすことができます。
名義変更のために出品者から落札者に送付すべき書類は以下の通りです。
- 車検証
- 譲渡証明書
- 所轄の運輸支局が変わる場合はナンバープレート
譲渡証明書のダウンロードリンクを以下にご用意しておりますので、ご利用ください。
ついでに、名義変更のために落札者が揃えるべき必要書類も示しておきます。
- 移転登録申請書(運輸支局で入手可)
- 手数料納付書(運輸支局で入手可)
- 落札者の住民票(発行後3ヶ月以内のもの)
- 税申告書(運輸支局で入手可)
ご覧の通り、住民票以外は運輸支局で入手可能なものばかりです。
移転登録申請書もダウンロード可能なので、以下にリンクを貼っておきます。
バイクの送料について
オークションでのバイクの売買において避けては通れないのが送料の問題です。
バイクは通常の商品とは異なりサイズが大きいので、専門の配送業者に頼むことになります。
代表的な配送業者としてよく名前があがるのが、BASですね。
ドアtoドアの配送も可能ですが、全国106箇所に展開されるデポといわれる中継点を利用したデポtoデポの配送を用いることで、割安な料金でバイクの配送が可能です。
料金の一例を示しますと、たとえば、東京の多摩2りんかんデポから大阪の堺デポまでバイクを運んでもらうと、最も安価な125cc以下のバイクで22,032円、最も高額な1301cc以上のバイクで25,596円となり、排気量に従って4段階に分かれています。
ヤフオクを見るとほとんどの出品者が配送料を落札者負担としているようですが、これは落札者にとって大きな負担となることを忘れてはいけません。
私は何も人道的な話をしているわけではありません。
個人といえども、人にものを売るからにはビジネス感覚を持つ必要があるわけです。
出品者にとって安い落札額でも、落札者にとってその落札額が安いとは限らないということです。
例えば、15年落ちで外装も年式なりにへたっているが、普通に使用する分にはまだまだ走りそうだという原付一種のスクーターを出品したとします。
入札者として想定されるのは、とりあえずの足が欲しいという方になるでしょう。
予算は、限界まで出しても3万円というところでしょうか。
出品者の住所が東京で、入札者が大阪で、先程の例で示したBASの送料がかかるとします。
そうなると、送料が約2万円ですから、予算が3万円の入札者は、入札の限界値が約1万円となります。
反面、出品者は落札額ができれば5万円まで釣り上がることを期待しているが、出品したバイクに3万円の価値はあると考え、最低落札額として3万円を設定したとします。
出品者と入札者の両者が設定する限界値は3万円でミートしているのですが、この状態では永遠にトレードは成立しませんね。
これが、最初の『オークションでバイクを売ることのメリット』でもお話した、オークションにはレア車が向いているということの理由の一つです。
つまり、出品したバイクがレア車で30万円は堅い、そこからどれだけ釣り上げれるかの勝負といったものならば、2万円の送料は落札額に対する割合がとても低くなり、出品者と入札者に与える心理的影響は少なくなります(実際のところ2万円は2万円であり何も変わらないのですが)。
バイク買取業者の査定を受けてみる
ここまでご説明してきたように、バイクをオークションで売るには、いろいろと考慮しなければいけないことがたくさんあります。
とはいえ、普通にバイク買取業者に売るよりも数倍もの落札額がつくことがあるのもまた事実です。
ですので、私がおすすめする手順としては、まずはいくつかのバイク買取業者に査定額を出してもらい(よく調べてしつこくない業者に依頼しましょう)、その査定額とご自身のバイクの業界的なポジションを考慮して、最終的にオークションに出すかどうかを決められるのが良いかと思います。
まとめ
今回はバイクをオークションで売ることについて、あまり他のサイトで書いていないことを中心に解説させていただきました。
まとめますと、以下のようになります。
- バイクにはオークション向きの車種(レア車など)がある
- オークションのデメリットは煩雑さと手数料
- ヤフオクでバイクを売るときは登録カテゴリに注意
- 名義変更にかかるトラブルはやり方次第で避けられる
- 出品者は送料を考慮したビジネス感覚を持つべし
- バイクをオークションに出すか決定する前に買取業者の査定をとってみよう
いかがでしたでしょうか。
どのような形で売るにせよ、あなたの大事なバイクを手放すわけですから、満足の行く価格で気持ちの良い取引ができますことを願っております。