バイクの登録や手続きの関係でややこしいのが車検切れに関するものです。
排気量が250ccを超えるバイクは2年ごとに(新車登録からは3年)車検を受けなければいけません。
車検を受けなかったり、あるいは受けても通らなければ車検切れになるわけですが、その状態のままで名義変更は可能なのでしょうか?
今回はバイクの車検切れと名義変更についてご説明したいと思います。
車検切れのバイクは名義変更できる?
車検切れのバイクは名義変更できるのかということが、たまにネット上で議論されているのを見かけます。
結論から申し上げますと、車検切れのバイクは名義変更可能です。
できるできないの議論の原因は四輪と二輪の手続きが混同されているからではないかと想像されます。
どういうことかといいますと、四輪の普通車の場合、車検が切れていると名義変更はできず、先に車検に通してから名義変更という順番になります。
しかし、バイクの場合は車検が切れていても、そのまま名義変更が可能です。
おそらく、バイクの車検が切れていると名義変更ができないと主張されている方は、普通車の手続きの記憶が混同されているのではないでしょうか。
ちなみに、四輪でも軽自動車ならば車検切れのまま名義変更が可能です、参考までに。
なぜ車検切れのバイクの名義変更が必要なの?
車検切れのバイクと名義変更の話をする中で、『車検が切れているならば、わざわざ名義変更をする必要がないのでは』という疑問を持たれる方が一定数いらっしゃるようです。
こうした方々のお話を聞いていると、どうやら[車検切れ=そのバイクのすべての登録がなくなっている→名義変更も必要ない]というロジックでそのような結論に至ったようです。
実際、そうした意見を聞いて、そう言われればそうかも…と納得しそうになる方もいます。
しかし、ここで気をつけなければいけないのは、バイクの車検が切れたからと言って、そのバイクの登録が抹消されたわけではないということです。
バイクの登録記録は、一時抹消あるいは永久抹消の手続きをするまでは抹消されません。
したがって、バイクの車検が切れても登録は抹消されません。
登録がされているバイクならば、名義変更をする必要があるというわけです。
車検切れのバイクを名義変更しないことのデメリット
上で、車検切れのバイクも名義変更しなければいけないことを確認しましたが、名義変更しないことによる現実的なデメリットというものはあるのでしょうか。
それはなんといっても、軽自動車税の問題でしょう。
抹消手続きをとらない限り、車検切れでも毎年の軽自動車税の請求は続きます。
このあたりのことに関しては、以下の記事で詳しくご説明していますので、ご参照ください。
中古車店などからバイクを買った場合は、業者がバイクを車検に通して、名義変更まで済ませてからバイクの引き渡しとなるのが一般的ですので、あまり心配ありませんが、問題はネットオークションなど個人間の取引でバイクを売買するケースです。
車検期間が残っているバイクをネットオークションで買う場合は、購入したバイクにすぐに乗り始めることが予想されるので、新所有者が名義変更を忘れることは(悪意がない限り)あまりなさそうです。
しかし、車検が切れているバイクを買う場合、ゆっくりとレストアしてから乗り始めるとか、そもそも乗る気はなくてコレクションとして購入しているといったケースがありえます。
そうした場合に、名義変更が後回しになりがちなようです。
そうこうするうちに翌年の4月1日が来てしまい、旧所有者(売主)に軽自動車税の納付通知が届いてしまうというトラブルが発生しがちです。
車検切れバイクの名義変更トラブルを防ぐために
上記で、バイクの名義変更を怠ったがために軽自動車税の納付通知が旧所有者に届くというトラブルについてご紹介しました。
このようなトラブルは防ぎようがないのでしょうか。
じつは、こうしたトラブルを防ぐために有効な方法があります。
それは、バイクを一時抹消してから買主に受け渡すという方法です。
一時抹消をすればもう誰にも軽自動車税の請求は来ませんし、そのバイクを新たに登録するならば新所有者(買主)の名義で手続きすることになりますので、旧所有者(売主)はなんの心配もなくバイクを売却できるというわけです。
逆に車検が残っているバイクを売却する場合は、車検が残っていることが大きなセールスポイントとなるので、受け渡しの前に一時抹消するのがなかなか難しいところがあります(一時抹消をすると車検もなくなってしまうので)。
ですから、受け渡し前の一時抹消は、車検切れのバイクを売ろうと考えている方にこそ有効な手法と言えます。
一時抹消に必要な書類や手続きに関しては、以下の記事で詳しくご説明していますので、ご参照ください。
バイクの名義変更に必要な書類
では、実際にバイクを名義変更するにあたって必要となる書類をご紹介します。
- 自動車検査証(いわゆる車検証)
- 譲渡証明書(旧所有者の押印があるもの)
- 代理人申請の場合、委任状
- 新所有者の住民票(発行後3ヶ月以内、マイナンバーなしのもの)
- ナンバープレート(管轄変更を伴う場合)
その他にも申請書など必要なものがありますが、運輸支局で手に入りますので、上記のリストに挙げた書類をご用意されれば大丈夫です。
ちなみに、住民票に関してはコピーでオッケーです。
原本はもったいないので、とっておいて何か他のことにご利用ください。
譲渡証明書と委任状のダウンロードリンクを貼っておきますので、よろしければご利用ください。
ちなみに、委任状の『委任者』は新所有者(買主)ですので、お間違いのないようご注意ください。
あともうひとつ、譲渡証明書の書き方ですが、下の画像のように、枠外に譲渡人の捨印をもらっておくと安心です。
譲渡証明書は一般的に最上段の譲渡人欄だけ記入された状態で受け取ることが多いですが、その後譲受人の欄を記入する際に書き間違えてしまうと、譲渡人の訂正印をもらわなければなりません。
ネットオークションなどで譲渡人が遠方に住んでいたら大変面倒なことになってしまいます。
しかし、枠外に譲渡人の捨印をもらっておくと、軽微な間違いならば訂正印無しで訂正できるのです。
書き間違えをしなければよいのですが、人間ですから絶対ということは言い切れません。
ですから、できれば譲渡人の捨印をもらっておくことをおすすめします。
まとめ
今回の内容をまとめると、以下のようになります。
- 車検切れのバイクは名義変更できる
- 車検切れのバイクでも軽自動車税は発生する
- バイクの譲渡後は速やかに名義変更しないと軽自動車税のトラブルが発生しやすい
- 車検切れのバイクは一時抹消してから受け渡すのがベター
- 譲渡証明書に譲渡人の捨印をもらっておくと安心
車検が切れていようが残っていようが、バイクの譲渡はスムーズにトラブルなく行いたいものです。
今回の内容が皆様のバイクの譲渡や売買の際にお役に立てば幸いです。