排気量が250ccを超えるバイクには車検が必要です。
新車登録時だと3年間、それ以降は2年ごとに車検に通す必要があるわけですが、その期限をうっかり経過してしまったとしたらどうなるのでしょう。
今回はそんなバイクの車検切れに関する対処法やお得情報などをお届けしたいと思います。
バイクの車検が切れるとどうなるか
バイクの車検というのは国が定めた安全基準にそのバイクが適合しているかを定期的に検査するものであり、安全な道路運行を確保するためにとても重要なものです。
とはいえ、車検が切れたからと言ってバイクそのものに物理的な変化があるわけではありませんから、軽く見られがちなようです。
しかし、車検切れのバイクで公道を走行すると
- 自賠責が有効で6点減点、すなわち最低で30日間の免許停止
- 自賠責が切れていると12点減点すなわち最低で90日間の免許停止
という重い罰則が課されてしまいます。
車検が切れているということは自賠責も期限を過ぎている可能性が高いので、90日間の免許停止になってしまいます。
普段の通勤・通学や、ましてお仕事でバイクに乗る必要がある方だと大変なことになってしまいます。
でも、スピード違反などと違って、車検切れなんてそうそうバレないのではないかと思われるかもしれません。
たしかに、以前は車検切れを摘発するのは相当困難なことだったようですが、2019年9月から国土交通省がナンバー自動読み取り装置を導入し、走っている車やバイクのナンバーを読み取りデータベースと即座に照会、瞬時に車検切れが判別可能となったのです。
国交省の資料によると、2018年9月から2019年3月までに行った街頭検査で43台の違反車両が補足され、レッカーで運ばれていったそうです。
車検切れ運行車両対策の実施結果 ―全国の街頭検査で可搬式の「ナンバー自動読取装置」を用いた対策を実施―
こうした罰則のように、運転者が痛い目を見るという問題だけでなく、整備不良や無保険の車両で公道を走るのは、周囲を大変な危険に晒す行為ですので、当然あってはならないということは、言うまでもありません。
車検切れ、ダメ、ゼッタイ
バイクの車検切れ、再度車検に通すには
上で書いたように、バイクの車検切れは自分自身にも周囲にも良いことのない状態なのですが、人間は失敗を犯す生き物です。
忙しい毎日の中でうっかり車検が切れてしまうことはあり得るでしょう。
車検切れに気づいてまず第一に考えられる対応は、そのバイクを改めて車検に通すことです。
車検期間中に行う車検と、車検切れになってから行う車検に手続き上の違いがあるかというと、特に違いはありません。
ちなみに、車検には新規検査と継続検査があり、車検切れのバイクの場合どちらになるかというと、継続検査になります。
車検が切れているから新規検査になりそうな気もしますが、今回のケースは車検が切れているからと言って抹消登録がされているわけではないので、継続検査になります。
そこで、実際にバイクを車検に通そうという話になると、基本的には車検証、自賠責保険証明書などの必要書類を車検代行業者に渡すか、あるいはご自身でユーザー車検を行うならば運輸支局に持っていけばよいのですが、ここで大きな問題が一つあります。
そのバイクをどのようにして車検代行業者や運輸支局まで持っていくかという問題です。
なぜなら、そのバイクはもう、車検が切れていて、公道を走ることはできないのですから。
車検切れのバイクを移動させるという、この問題について、次のセクションでご説明していきます。
車検切れのバイクを移動させる方法
車検切れのバイクを再度車検に通すのは、通常の車検と同じであるということは先程お話したとおりです。
ここでは、車検切れのバイクにつきまとう物理的な問題、すなわち車検切れのバイクは公道を走れないということに起因する、車検代行業者あるいは運輸支局までの移動の問題について、ケースごとにご説明します。
車検代行業者に頼むケース
まずは車検代行業者に代行してもらうケースです。
具体的には、2りんかんのような大手バイク用品店や、バイクショップなどが車検代行業者に該当します。
通常の場合、すなわち車検が切れていない場合ならば、その業者のところまでバイクに乗っていき、バイクと必要書類を業者に引き渡し、代車に乗って帰ってくるという流れになると思います。
しかし、今回検討するのは、車検が切れてしまっているケースですから、業者のところまでバイクに乗っていけません。
考えられる対処としては、車検代行業者に連絡して、バイクを引き取りに来てもらうことです。
ただし、代行業者に引き取りに来てもらう場合、引取費用がかかってしまう可能性がありますので、確認が必要です。
もちろん、ご自身でバイクを載せられるトラックをお持ちならば、そのトラックにバイクを載せて代行業者のところまで行くというのも一つの選択肢です。
ユーザー車検をするケース
ご自身でユーザー車検を行うとなると、近隣の運輸支局にバイクを持っていって車検を受けることになります。
車検代行業者に頼むときと同様、ユーザー車検の場合もバイクの移動が問題となります。
バイクを積載できるトラック等があれば、それで解決なのですが、トラックを所有しているという方はなかなかおられないと思います。
そこで、車検をうっかり切らしてしまった方を救済するために便利な制度があります。
それは仮ナンバーというものです。
道路を走っていて、白いナンバープレートに赤いスラッシュが入っているものを見たことはありませんか?
あの赤スラッシュのナンバーが仮ナンバーと言われるもので、今回ご説明している車検切れなどのケースで使用できるものです。
相模原市公式HPより
あ〜これね、ご当地ナンバーかと思ってた(´∀`*)
仮ナンバーを手に入れるのは、意外と簡単です。
仮ナンバーもナンバープレートですから、運輸支局で手続きが必要そうな感じもしますが、市区町村役場で手続きをすることになります。
仮ナンバーを申請する市区町村役場は、ナンバーの管轄地域に関わらず、どこの役場でも可能です。
車検証(コピー可)、自賠責保険証明書(原本)、本人確認書類(免許証等)を揃えて、市区町村役場の窓口で申請書とともに申し込めば交付してもらえます。
基本的に使用開始日の当日か前日にしか申請できず、それよりも前もって交付してもらっておくことはできません。
期間は最大で5日間となっており、もし、車検に1回で通らなかった等の事情で5日を超えてしまいそうなときでも期間の延長はできず、一度返納してから、新たに申請し直すこととなります。
費用は、手数料として役場に支払う750円と、自賠責保険が切れている場合は自賠責保険に加入してからでないと仮ナンバーを申請することができないので、その保険料がかかることになります。
どこの役場でもだいたい似たような手続きかとは思いますが、ここで書いた内容は大津市のものになりますので、他の自治体の方は一応確認のうえ申請されたほうが良いでしょう。
ちなみに、以下のサイトからWeb上で車検の予約ができます。
自動車検査インターネット予約システムー国土交通省
【番外編】バイクショップや運輸支局が近いケース
車検切れのバイクを移動させるために、バイクショップに引き取りに来てもらったり、仮ナンバーを取得して自走したりという方法をご紹介しましたが、実はもう一つ方法があります。
この方法はバイクショップや運輸支局がお住まい、あるいはバイクを置いている場所からほど近い場合にしか使えませんが、とても手軽でコストもかからない方法です。
それはバイクを押して行くという方法です。
バイクは、エンジンを切って押して歩けば歩行者扱いになりますので、歩道を通行することができます。
体力的に可能な距離ならば、バイクを押して行けば車検切れのバイクでも問題なく移動させることができるというわけです。
バイクに乗らずに押していても、エンジンをかけていれば運転とみなされ、違反となります。
また、エンジンを切っていてもバイクに跨っていると(解釈は諸説あるようですが)違反を取られる可能性があります。
くれぐれもバイクのエンジンを切って押すようにしてください。
特に下り坂なんかは跨って惰性で走りたくなっちゃうから注意だね!
車検切れのバイクを売るには?
ここまで、車検切れのバイクを再度車検に通す方法についてご説明してきましたが、ここからは車検切れのバイクを売却するケースについて検討してみましょう。
そもそも、車検切れのバイクは売却可能なのでしょうか?
結論から申し上げますと、可能です。
では、車検切れのバイクを売却するに際して、特別に用意するものや、やっておくべきことがあるかというと、それも特にありません。
車検が残っているバイクと同様に、普通に売却することができます。
ただし、さきほどもご説明したように、車検切れのバイクは公道を自走することができません。
ですから、自宅まで出張買取に来てくれるバイク買取業者に頼むのがもっとも手っ取り早い方法です。
バイク買取業者でしたら、当然トラックで引き取りに来てくれますし、大体の業者が引き取り手数料はもちろん、その後に必要な各種手続きも無料で代行してくれるところが多いので、ここまででご説明した面倒ごとがほとんど解決することになります。
個人売買やネットオークションの場合は、やはり運搬に問題がありますからね。
運搬用のトラックをご用意できるかどうか、売却先が買取業者か個人かなどの状況に応じて最適な方法を選ばれるのが良いと思います。
車検切れのバイクは名義変更可能?
もう一つ別のケースを考えてみましょう。
知人から車検切れのバイクを譲ってもらったが、今すぐに乗る気はないので車検に通す気はない。
しかし、名義変更はしておきたい、というケースです。
はたして、車検が切れたままのバイクの名義変更は可能なのでしょうか?
できるかどうかでいうと、可能です。
通常の名義変更と特に変わらず手続きできます。
必要なものは
- 車検証(旧所有者から受け取ります)
- ナンバープレート
- 譲渡証明書(旧所有者から受け取ります)
- 身分証(免許証等、新所有者のもの)
- 住民票(新所有者のもの、3ヶ月以内に取得したもの)
- 印鑑(シャチハタ不可)
となります。
あとは運輸支局に行って、申請書類を購入し、記入した上で提出すればオッケーです。
場合によっては廃車も同時がお得
これで、旧所有者に迷惑をかけることはなくなりますが、個人的にはもう一つ同時に手続きをしておくことをおすすめします。
それは、廃車(一時抹消)手続きです。
今回のケースでは、新所有者もしばらくバイクに乗らないことが想定されます。
にもかかわらず、4月1日時点の所有者には軽自動車税の請求が来てしまいます。
排気量が250cc超のバイクだと、年額で6,000円です。
いずれ乗るつもりとはいえ、乗らないバイクに毎年6,000円も払いたくないですよね。
しかし、廃車(一時抹消)にしておけば、バイクを物理的に所有していても、軽自動車税は課税されません。
これはあくまで車検切れのバイクの場合です。
車検期間が残っているバイクを抹消登録すると、車検の残存期間も消失してしまうのでご注意ください。
バイクの廃車に関しては以下の記事で詳しく解説しておりますので、ご参照ください。
まとめ
ここまで、車検切れのバイクについて見てきましたが、まとめると以下のようになります。
- 車検切れのバイクで公道を走行すると厳罰がある
- 車検切れのバイクを再度車検に通すのは継続検査
- 車検切れのバイクを移動させるには、トラックに乗せるか、仮ナンバーを取得する
- 車検切れのバイクでも押して歩くならオッケー
- 車検切れのバイクを売るならバイク買取業者の出張買取がおすすめ
- 車検切れのバイクでも名義変更可能
- 車検切れのバイクを名義変更するなら一時抹消も同時にしたほうが良いケースがある
本文でも書きましたが、現在は走行中の車やバイクの車検切れを即座に検出する装置が導入されているので、くれぐれも車検切れのバイクで公道を走行することのないよう、ご注意くださいね。
また、車検切れのバイクを押して歩くときはエンジンをかけないこともあわせてお気をつけください。
それでは、最後までお読み頂き、誠にありがとうございましたm(_ _)m